ホゲット? 石鍋?

「ホゲット」って、何だかわかりますか?
長崎県の西彼杵半島の山中、中世の石鍋製作地の名前ですが、穴をあける「窪める」という意味合いで、北部九州の方々は「うまいこと言ったなあ」と思うそうです。
先月のことになりますが、佐世保の松尾秀昭さんにご案内いただき、現地の石鍋製作を見学しました。
道なき山中に、素材の滑石の鉱脈を探っていって大きな割れ目になった場所やくり抜かれずにのこった鍋の原型をみて、「このような山中で作業をした石鍋が、当時、全国に流通したんだ」と驚いた次第です。
シリーズ「遺跡を学ぶ」で秋に刊行します。内容が固まりましたら、またアップします。

シリーズ「遺跡を学ぶ」120巻

シリーズ「遺跡を学ぶ」第10回配本のもう一冊は、あの有名な国宝土偶「仮面の女神」が出土した、長野県茅野市の中ッ原遺跡です。

シリーズ「遺跡を学ぶ」120巻

『国宝土偶「仮面の女神」の復元 中ッ原遺跡』

守矢昌文(茅野市尖石縄文考古館館長)

2000年8月末、八ヶ岳西山麓の中ッ原遺跡で、仮面を付けた造形の大型土偶が、墓と思われる土坑から、死者にたむけたような位置で見つかった。国宝となった土偶はどんな特徴があるのか、縄文人はこの土偶にどんな願いを込めたのか。発掘を担当した著者が、その秘密を解き明かしてゆく。

目次
第1章 「仮面土偶」の発見
第2章 復元と国宝指定
第3章 中ッ原縄文ムラを探究する
第4章 「仮面の女神」を探究する
第5章 八ヶ岳西山麓の縄文文化の終焉

(中ッ原縄文公園と出土状況のレプリカ)

シリーズ「遺跡を学ぶ」119巻

シリーズ「遺跡を学ぶ」第10回配本の一冊は、以下の通り。
8月初旬発売開始です。ご期待ください。

シリーズ「遺跡を学ぶ」119

『大和政権中央で活躍した東国首長 綿貫観音山古墳』

大塚初重(明治大学名誉教授)
梅澤重昭(元群馬県教育委員会文化財保護課長)共著

東の古墳王国、群馬県。なかでも高崎市の綿貫観音山古墳から出土した華麗な副葬品は、韓国武寧王陵出土鏡と同形鏡や、法隆寺献納宝物の水瓶に似る美しい水瓶など、東アジアとの活溌な交流を見せて群を抜いている。五〜六世紀に大和政権中央で活躍したその被葬者は誰か。その実像に迫る。

目次
第1章 未盗掘古墳の調査
第2章 特異な前方後円墳
第3章 埴輪は語る
第4章 豪華な副葬品
第5章 綿貫観音山古墳と大和政権

『文化財保存70年の歴史』刊行

文化財保存全国協議会編による『文化財保存70年の歴史──明日への文化遺産』(A5判上製/縦組み/392ページ/定価3800円+税)を刊行しました。

本書は、戦後の経済発展のもとで、破壊された遺跡、保存された遺跡の貴重な記録で、戦後70年間に日本列島で起こった主要な遺跡破壊問題・保存の取り組みを、当時、保存運動を担った人を中心に報告していただいたものです。これだけの歴史を記録した書籍は今までになかったですし、これからも出ないでしょう。そうした点で、文化財を知るための貴重な一冊です。

●主要目次
1 文化財保護法の成立と月の輪古墳
2 戦後復興とイタスケ古墳
3 高度経済成長と平城宮跡
4 住民運動の高揚と池上曽根遺跡
5 文化財訴訟と伊場遺跡
6 高速交通網の整備と裏山遺跡
7 新しい市民運動と田和山遺跡
8 文化的景観と世界遺産
9 大震災後の文化財救援活動と災害遺構の保存
10 戦後70年と戦争遺跡
〈コラム〉登呂遺跡、岩宿遺跡、南堀貝塚、綾羅木郷遺跡、田能遺跡、加曽利貝塚、摂津加茂遺跡、多摩ニュータウン遺跡群、難波宮跡、青木遺跡、塚原古墳群、三ツ寺Ⅰ遺跡、吉野ヶ里遺跡群、鷲城・祗園城跡、鞆の浦、平泉柳之御所遺跡、神戸港震災メモリアルパーク、木籠メモリアルパーク、原爆ドーム、首里城

沖ノ島が世界遺産へ

沖ノ島が世界遺産になりそうだ。諮問機関のイコモスが文化庁の推薦した沖ノ島を世界遺産に登録するよう世界遺産委員会へ勧告することになった。「古代祭祀の記録を保存する、類いまれなる『収蔵庫』」という評価らしい。一方、大島にある宗像大社中津宮や宗像市の辺津宮は除外する勧告である。

私たちから見ると、祭祀としては一体であるはずの中津宮や辺津宮を入れないのは不自然に思うのだが、外から見るとそうではないらしい。なぜ切り離せるのか、逆から言うと、なぜ一体としか見れないのか、そのあたりに「祭祀」ということを深く考えるきっかけがあるかもしれない。

かつて沖ノ島調査に参加した弓場紀知氏が、シリーズ「遺跡を学ぶ」013巻『古代祭祀とシルクロードの終着地 沖ノ島』で、沖ノ島祭祀の考古学的な内容と価値について解説しています。

『縄文土器ガイドブック』重版

井口直司さん著の『縄文土器ガイドブック』(A5判・2200円+税)を重版することになった。第4刷である!

この企画の発端は、シリーズ「遺跡を学ぶ」で編集している苦労からだった。縄文時代の遺跡の原稿によく「加曽利E式期」とか「諸磯式期」といった土器編年がさらっと登場することが多くて、理解するのに苦労していた。「縄文土器の概略がコンパクトにわかる本がほしいなあ」と思って、そのことを縄文時代研究者の方々に話すと、「縄文土器の全体を見ようなんて、大型本で3、4冊になるよ。一般書1冊でなんてとんでもない!」と言われた。井口さんには、それをやってもらったわけだ。

今日は、井口さんと打ち合わせをするために、井口さんの職場である東京都東久留米市の郷土資料室を訪ねた。その小さな展示室に、市内の遺跡から出土した縄文土器が壁一面に展示してある。

東久留米という武蔵野の一地域内の土器ではあるけれども、土器の変化と特徴が一目で展望できて、わかりやすい。もっと見た目のすごい土器を展示している博物館はたくさんある。しかし、一つ一つの土器に圧倒されることはあっても、縄文時代全体をとおして縄文土器とはどんなものだったのかが見えてくる博物館はめったにない。『縄文土器ガイドブック』がわかりやすい本になったわけがわかった。ぜひ、東久留米市郷土資料室に見に行ってほしい。

「倭人の祭祀考古学」編集開始

3月末の新刊ラッシュを終え、新しい本作りを始めている。毎年4月、5月にもコンスタントに新刊を刊行しようと思うのだが……。

今日は、『倭人の祭祀考古学』の第1次原稿整理を終えた。著者は、奈良大学の小林青樹教授。弥生時代の祭祀、弥生人の精神世界を、さまざまな考古学的知見と文化人類学の分析手法なども取り入れて追究していこうとするものだ。

実証主義を重視する考古学では苦手な精神世界を少し切り開いていこうとする知的格闘を、十分楽しんでもらえるような本作りを目指している。特に、図版。今まで見たこともない図で、それだけに制作に力を入れなくては。

5月中に完成させ、6月頭には発売しようと頑張っています……。

 

シリーズ遺跡を学ぶ117・118出来

24日(金)に、シリーズ「遺跡を学ぶ」117巻『船形埴輪と古代の喪葬 宝塚一号墳』、118巻『海に生きた弥生人 三浦半島の海蝕洞穴遺跡』の見本が無事出来た。書店には4月に入れば並ぶだろう。

今日は、118巻『海に生きた弥生人 三浦半島の海蝕洞穴遺跡』の著者、中村勉さんに見本を渡すために、横須賀市自然・人文博物館で開催された、横須賀考古学会主催の研究集会「墳丘を持たない古墳時代の石棺墓」に行ってきた。

墳丘もなく、海岸にある石で囲んだだけの古墳時代の簡単な墓が、このところ列島各地の海に面した場所で見つかっているという。その事例を発表し、何かを考える集会だ。多くの参加者があって活発な議論があった。

奈良県や大阪府の巨大古墳をみんなが言及するのは、そこから当時の日本の権力の動向を見ることができるから。群馬などの地域の巨大古墳も、その地域の首長・権力を解明するためだろう。では、墳丘もない簡素な石棺墓は、何のために探究するのか。

『海に生きた弥生人 三浦半島の海蝕洞穴遺跡』を編集させていただいた浅学が思うには、主催者側の中村さんはご自分の発表以外はあまり発言しなかったけれども、巨大古墳から権力のヒエラルキーを見てしまうような歴史観ではなく、地域地域にそれぞれの独自の生き方と、そうした人たちの列島のつながりがあるということから歴史に組み立てようよ、と言いたかったに違いない。

N・ルーマン著『理念の進化』

久しぶりにニクラス・ルーマンの新刊を刊行します。4月初旬には書店店頭に並びます。

N・ルーマン著/土方透監訳『理念の進化』
(A5判上製/320ページ/定価3800円+税)

ルーマンは1998年に亡くなっていますから、2008年にドイツで刊行された本書は落ち穂拾いのような寄せ集めの論文集と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、本書に収録された論考は、『社会構造とゼマンティク』のシリーズに入れる構想でまとめられていたものでした。以下の目次を見ると納得していただけると思うのですが、近代の「思考」の前提・根底・中枢となっている、「進化」「階級」「科学(真理性)」「合理性」などの概念を問い直すものです。

●目次
第1章 意味、自己言及、そして社会文化的進化
第2章 社会階級の概念について
第3章 科学の発生──認識獲得システムの分出
第4章 近代社会の合理性
第5章 社会学的パースペクティヴにおける理念史

次のような文章は、ルーマンらしいと言うべきか、意外と言えるでしょうか。

「実際のところどうであったのかを確かめる任務を与えられ、野に出た研究者たちは二度と戻ってこない。獲物を仕とめてくることもなければ、報告することもない。細部の虜となった彼らは嗅覚を働かせ、いつまでもその場にとどまる。」

「個別の歴史的発展にとっての決定的な原因を探そうとすることもナンセンスである。カール・マルクスとマックス・ヴェーバーは、その信奉者たちがどのような追加的な詭弁を弄して抗弁しようと、そうしたアプローチをとっていることからして、お払い箱にされる。」

年度内刊行も大詰め

新年度、新しい春に、書店に並べていただけるように、現在、制作の大詰めを迎えています。作業している本は以下の通り。

 永田夏来・松木洋人編『入門 家族社会学』
A5判/240ページ/定価2300年+税

 ニクラス・ルーマン著、土方 透監訳『理念の進化』
A5判上製/320ページ/定価3800年+税

 シリーズ「遺跡を学ぶ」117
 穂積裕昌著『船形埴輪と古代の喪葬 宝塚一号墳』
A5判/96ページ/定価1600年+税
シリーズ「遺跡を学ぶ」118
 中村 勉著『海に生きた弥生人 三浦半島の海蝕洞穴遺跡』
A5判/96ページ/定価1600年+税

 秋山浩三著『弥生時代のモノとムラ』
A5判上製/432ページ/定価10000年+税

4月に入れば、どれも発売になる予定。